「兵庫経協」 2025秋号

【歯の健康シリーズ】 T O P I C S 食事の時、よく噛んでいますか? 食べることは生きるために栄養を取り込むだけで なく、精神面においても重要な役割をもっていま す。いつまでも口から食べられるようお口の管理を しっかりと行いたいものです。 1.よく噛む事が老化を防ぐ。 歯がある人は、歯がない人より血液中のビタ ミン濃度高い事が分っています。歯が丈夫だと、 食物繊維やビタミン豊富な野菜や果物の摂取が多 くなり生活習慣病の予防に効果的でお肌にも良い です。ビタミンがよく吸収する事は、老化を防ぐ ことになります。 2.よく噛めると健康を維持できる。 噛める人と噛みにくい人では、食品の摂取など にも大きく作用されます。噛める人の場合では バランスのとれた食事を摂ることが出来ますが、 噛みにくい人の場合では肉類や豆類・乳製品等が 少なくなり、菓子類等の糖分が多くなる傾向があ ります。しっかりと噛める歯や補綴物・入れ歯等 でバランスの取れた食生活を送りたいものです。 3.よく噛むと脳もスッキリ。 噛むことで脳の血流が多くなります。よく噛ん で食べると唾液の分泌が促進される他に、脳の 血流が増加し、脳が活性化されます。すなわち、 肥満の防止、記憶力を高める効果が期待されます。 動物の中で、唯一食事を味わうことが出来るの は人間だけです。味わって食べるということは、 生きてゆくための水分補給や栄養摂取だけではあ りません。おいしく食べると満足感が得られて、 ストレスの解消にもつながります。また、誰かと 楽しく食べることはコミュニケーションが多くな り、舌で味わったり、匂いを嗅いだり、目で見た りなどの刺激を与えることにより脳を活発になっ て心が安定する効果が期待されます。 4.よく噛む事で認知症予防。 脳は加齢とともに衰えていきますが、よく噛 む事で脳への血流が増加して記憶・判断・意志 などに関与する神経細胞が鍛えられて認知症の 予防につながります。 (ガムを2分間噛んでいると、脳に血流が増加し て活性化してきます。) 5.運動能力と密接な関わりを持つ歯 一流のスポーツ選手に求められる色々な事柄 の中に、瞬発力と集中力があります。この力を 最大限に発揮するには、良い噛み合わせで瞬 間的にグッと歯を食いしばることが必要です。 大きなむし歯がある、抜けたままの歯があると、 十分な力を出せないことがあります。噛み合わ せがしっかりしていると、運動能力が高まりま す。中学生を対象とした調査によると、奥歯の 噛み合わせがしっかりしている生徒は、そうで ない生徒に比較して瞬発力・跳躍力・筋力とも 15~20%高いという結果が出ています。 これらのことから、歯の役割の重要性が改めて 理解して頂けたと思います。 最後に、かかりつけ歯科医は「歯の健康」サ ポーターです。上手に活用して下さい。 痛みが無くても、年に3~4回は定期的に歯科医 院を受診してむし歯・歯周病健診等を診てもらい PMTC(プロフェショナル・メカニカル・トウー ス・クリーニング)という専門的な歯のクリーニ ングを受けましょう。(自分では取り除く事が難 しい歯周ポケットの歯垢や歯石などを除去したり、 歯垢をつきにくくするために歯の表面を滑らかに したりします。) 皆様が、一生涯楽しく食事をして元気で活動的 に生活されることを願っております。 兵庫県歯科医師会 地域保健員会委員 豊後 孝敏 よく噛む事が健口(けんこう)の秘訣 ※参考文献:「からだの健康は歯と歯ぐきから」「歯とお口からはじめるアンチエイジング」公益財団法人8020推進財団 16 兵庫経協2025年秋号

RkJQdWJsaXNoZXIy Mjc4NTQzNg==