休職制度の設計と運用上の課題 休職制度は、私傷病などにより長期間労務提供 が困難な労働者を一定期間、労務を免除・禁止す る制度であり、法令上明確な定義や導入する義務 は存在しないものの、多くの企業で就 業規則等に規定されている(図1)。なお、 業務災害による休業の場合には労働基 準法第19条により解雇が禁止されてい ることから、休職制度の対象とするこ とは妥当ではない。また、使用者の責 に帰すべき休業についても、労働基準 法第26条により無給とすることはでき ないので、やはり休職制度に含めるべ きではない。なお、最近では同一労働 同一賃金の原則から、短時間労働者、 有期雇用労働者についても休職制度の 適用対象として認めるべきかどうかと いう点について慎重な検討が必要である。 休職期間は一般に6か月から3年程度 とされるが、勤続年数や病気の種類 (たとえば結核と非結核)により差異 を設ける、あるいは前後の休職期間の 通算規定を導入するといった事例もあ る(図2)。休職発令のタイミングにつ いては、一定の欠勤期間を経た場合を 要件としている場合が多いが、欠勤を 断続的に繰り返す場合や理由によって は欠勤を経ずに休職発令が可能かは問題となりう る。また、回復不可能な私傷病の場合にも休職を 認めなければならないか、休職させることなく解 雇は可能かも大きな問題といえる。さらに、休職 期間満了後の取り扱いにおいて、健康状態の回復 病気休職 自己啓発休職 起訴休職 事故欠勤休職 出向休職 その他 特にない 規模計 50人未満 50~99人 100~299人 300~999人 1000人以上 0.0 n=2677 「病気休職」のある企業を対象に集計(n=2373) 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 0% 20% 40% 60% 80% 100% 3か月未満 3か月~6か月未満 6か月~1年未満 1年~1年6か月未満 1年6か月~2年未満 2年以上 上限なし 無回答 図1 従業員を一定期間休職させる制度や慣行の状況 図2 病気休職の休職期間の上限 出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構 16.1 11.9 22.0 11.5 11.6 9.0 6.9 11.0 17.9 11.9 22.4 10.1 10.5 6.5 7.3 13.4 13.6 13.9 23.0 13.0 13.2 10.3 8.9 4.2 9.5 10.8 19.0 19.6 15.3 20.0 2.4 3.5 4.8 8.8 19.8 15.5 19.2 24.3 3.3 4.2 1.6 5.0 8.3 16.3 24.1 40.3 1.0 3.3 69.1 12.5 20.1 37.4 7.2 5.4 28.7 労働政策ニュース 特 集 休職・復職をめぐる留意点 人事労務倶楽部 社会保険労務士 宮内 雅也 4 兵庫経協2025年夏号
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