「兵庫経協」2025夏号

糖尿病は、血液中のブドウ糖が増えた高血糖が続く状態で、この状態が長く続くと身体を蝕み、 様々な合併症を引き起こします。神経、目、腎臓の症状をはじめ、足壊疽、脳卒中、虚血性心疾患 が起こりやすくなります。さらに最近では、歯周病、骨粗しょう症、認知症等の発症・進展の要因 としても注目されています。 その治療には、食事療法・運動療法を基本に薬物療法等を行います。さらには、高齢の糖尿病患 者が増えてきていることから、フレイルの予防管理が必要になっています。つまり、歩く・動くた めの筋力を維持する必要があります。そのためには、色々な食品をバランスよく取らなくてはな りません。特にたんぱく質の摂取は重要です(病気の状態によって摂取量は変わってきますので、 主治医への確認は忘れずに)。 バランスよい食事と口の機能には、密接な関係があります。食物繊維を多く含む野菜、魚や肉等 のたんぱく質には、しっかり噛める口が大切です。時間をかけて噛んで食べると、血糖値の上昇は 緩やかになると言われています。むし歯や抜けたまま放置しているところはないですか。きちっと 治して、しっかり噛める口にして下さい。口の健康維持は、糖尿病管理に不可欠です。 さらに、口の健康を維持するための口腔ケアも忘れてはいけません。特に歯周病と糖尿病は密接 な関係があり、血糖コントロールに影響してきます。歯周病がある人は糖尿病の治療が困難になり やすく、さらには、糖尿病合併症への影響も示唆されています。日々のブラッシングに加え、定期 歯科受診による口腔ケアが有効です。 糖尿病も歯周病も、さまざまな臓器に影響を及ぼします。 しかも、早期には症状がありません。予防はもちろん、早期 診断・早期治療が重要です。 【歯の健康シリーズ】 T O P I C S 兵庫県歯科医師会 地域保健常任委員会委員 近藤正之 糖尿病としっかり噛める口の関係 16 兵庫経協2025年夏号

RkJQdWJsaXNoZXIy Mjc4NTQzNg==